小麦だんご

連載日本の食生活全集

2020年06月09日

聞き書 茨城の食事 南部水田地帯の食より

小麦だんごには、ぜんびんだんごと、あんかけだんごとがある。
ぜんびんは、だんごをあんの中でゆでたようなものである。あんをつくるには、小豆をゆで、それを木綿の袋でこして、そのあんの溶けこんだ液に砂糖を入れて煮つめるわけだが、そのとき、水でこねた小麦粉のだんごも一緒に煮てしまうのである。
あんかけは、ゆでただんごに醤油味のくず粉のあんをかけたものである。
小麦だんごは、新小麦がとれる夏から秋にかけて、おやつとしてもよく食べるが、六月から七月にかけてのこの地方の行事、祇園、おしぐれ、新箸祇園、七夕、人形送りなどには欠かせない食べものである。
ぜんびんは甘く、あんかけは醤油味であるから、甘いのに飽きればあんかけを、というように、両方あることによって食も進む。

 

出典:桜井武雄 他. 日本の食生活全集 8巻『聞き書 茨城の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.118-119

関連書籍詳細

日本の食生活全集8『聞き書 茨城の食事』

桜井武雄 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850387
発行日:1985/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 348頁

「新豆できたから納豆寝せべ」穀類豊富な県央畑作地帯、水郷ならではの淡水魚を利用した南部水田地帯。水陸の幸を素材に食事づくりを手がけてきた主婦からの聞書きによってまとめた「常世の国」茨城の食事。
田舎の本屋で購入

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