聞き書 三重の食事 志摩海岸の食より
夏の晩飯は、ほとんどぼぶら飯を炊く。
ぼぶらの皮をむき、食べやすい大きさに切る。ぶんどやささげを釜に入れて、豆がやわらかくなるように煮る。豆の皮が割れかけてきたところで、ぼぶら七、米二、豆一の割合で混ぜ、塩一つまみを入れる。水加減は、材料がひたるかひたらないぐらいでよい。米のとれ高の少ない志摩では、よく豆を加えてごはんの量をふやす。
炊きあがると、ぼぶらの黄色が釜の中で目だつが、味をよくするために、押しつぶして混ぜてしまう。かゆのようにねっとりしたものを、茶わんに盛って食べる。甘い飯なので、漬物をおかずにして食べる。とれたぼぶらのほとんどは、ぼぶら飯に使う。
出典:西村謙二 他. 日本の食生活全集 24巻『聞き書 三重の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.251-251