聞き書 徳島の食事 吉野川北岸の食より
■晩――麦飯、そうめん汁、野菜の煮つけ
冬ならばそうめんの味噌汁にするが、夏はあっさりと醤油汁にする。大なべにいりこでだし汁をつくり、醤油で味をつけた色の黒い汁に、ゆでたそうめんと薄切りなすを入れる。おかずの煮つけは、かぼちゃとなすを大きく切り、水といりこ二、三びきを入れて炊きあげる。火が通ると醤油を入れて味をつける。煮つけのいりこも醤油汁のいりこも、口の中に入るとがさがさするが、魚を食べることが少ないので、残さず食べる。
写真:夏の夕食
麦飯、そうめん汁、なすとかぼちゃの煮つけ。夏のそうめん汁は醤油味にする。
出典:立石一 他. 日本の食生活全集 36巻『聞き書 徳島の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.26-27