まっ赤に煮あがった手長えびを殻ごと食べる――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年05月31日

聞き書 島根の食事 宍道湖・中海沿岸の食より

昼飯――麦飯、ふきやたけのこの煮もの、えびの煮つけ、なめ味噌
ふきやたけのこはぜひ食べたい季節のものである。味がよいと評判の生馬いくまたけのこも近くにあり、もらいもので味わうことができる。ぬかでゆでてあく出しをしたものを薄く切り、味噌汁の実にしたり、ふきと合わせておすしの具にもする。
畑に毎年芽を出す水ぶきを色よくゆでて煮しめて、たけのこの煮ものと一緒にいただくのは格別である。少ない野菜の補いになってくれる。まっ赤に煮あがった手長えびを殻ごと食べるのもこの季節の楽しみの一つである。

写真:春の昼飯
膳内:えびの煮つけ、麦飯、ふきとこんにゃくの煮もの/膳外:なめ味噌(にんじん、なす、大根入り)

 

出典:島田成矩 他編. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.23-25

関連書籍詳細

日本の食生活全集32『聞き書 島根の食事』

島田成矩 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910029
発行日:1991/7
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

旧暦十月の神無月も出雲では「神有月」。全国から集まる神々をもてなす心が食生活の中にいまも息づく。汽水湖・宍道湖・中海の豊かな魚介、米どころ出雲平野、豪雪の山間、隠岐まで郷土の食を網羅。
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