聞き書 徳島の食事 那賀川下流の食より
女の子のお節句や秋祭りには、必ずつくるごちそうである。
芯にはこごり(高野豆腐)、かんぴょう、にんじん、ちくわなどを使う。いりのだしで煮て、砂糖と醤油で味つけする。
のりは、ふだんは青のりを使うことがほとんどで、黒のりも使うが、こちらは値段が高いので、三回に一回ほどである。
すし飯の酢は、酢酸(酸味の強い酢)を使う。米一升に対して酢は一合、砂糖小さじに三杯と塩を一杯半入れる。酸っぱいすしである。
のりにすし飯を広げ、芯を並べてぐるりと一巻きする。
出典:立石一 他. 日本の食生活全集 36巻『聞き書 徳島の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.241-241