聞き書 高知の食事 香長平野の食より
「今日は酢だいこでもしょうか」という感じによくつくられる。焼魚(さばやかつおを生のまま焼きあげたもの)や生節(かつおやめじかをゆでたもの)があれば身をほぐし、かえり(細い煮干し)ならそのままを酢につけて、だしを出す。塩もみしておいたせん切りの大根をあえて、酢のきつさをとるぐらいに砂糖を足す。だしが生魚の切身であれば、晴れのときである。
夏になるときゅうりやしろうり、りゅうきゅうでつくる。種の入ったきゅうりやしろうりはぷりぷりと歯ごたえがよい。
夏はぶしゅかん、秋はゆ(ゆず)の酢を使うと味がしまるが、この木はどの家にもあるというものではない。
出典: 松崎淳子 他. 日本の食生活全集 39巻『聞き書 高知の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.74-74