聞き書 山形の食事 村山盆地の食より
里芋の出盛りには、廃鶏をつぶしたりして、いも子汁を食べる。
材料はいも子(里芋の子いも)、肉、こんにゃく、ねぎなどである。いもの皮をむき、小さいものはそのまま使い、大きいものは二つ切りにする。肉は一口大に切る。こんにゃくは一口大に手でちぎりながらなべに入れる。ねぎは一寸長さに切る。いも子、肉、こんにゃくの順に煮て、醤油を入れ、味見したら、ねぎを入れてできあがり。ふきこぼれに気をつけながら煮る。
大なべのいも子汁は見るからに量感があり、村山盆地独特の「里の秋」の味覚である。いも子汁があれば、あとは漬物だけで十分といったところである。
出典:木村正太郎 他. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.52-52