聞き書 茨城の食事 県央畑作地帯の食より
秋のさんまのとれ盛りには安いので、まとめて買ってぬか漬にする。まず、はらわたをとって一ぴきのまま、一斗樽(醤油樽)に塩漬にする。塩の量は適当でよく、軽く重石をしておく。三日もすれば水が上がるので、これをぬかと塩でもう一度漬け直す。樽は同じものでよい。このときも、一回目と同様に重石をする。
さんまのぬか漬は、冬から早春のおかずであり、ぬかを洗って焼いて食べる。焼く前に切ることもある。おもに昼食か夕食のおかずになり、一人一ぴきくらい食べる。ぬかの焼ける香りが香ばしい。
出典:桜井武雄 他. 日本の食生活全集 8巻『聞き書 茨城の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.57-57