あゆべか

連載日本の食生活全集

2020年12月03日

聞き書 島根の食事 江の川流域の食より

へかなべ(鉄製の平なべ)に、干しあゆを人数に合わせて並べ、上に大根、ごぼう、しゃくしな(体菜)、ひらぐき(広島菜)などをのせる。大根は食べよく切り、ごぼうは大きめのささがきにし、菜っぱ類は下ゆでして一寸くらいに切って入れる。醤油と少しの赤砂糖で味つけして煮、終わりにねぎを入れる。豆腐やこんにゃく、なすびや香茸などがあれば、入れると上等である。
似た料理に、くじらべかがある。これは干しあゆのかわりに、くじらの白皮(脂の多い皮)を入れたものであるにゃく、なすびや香茸などがあれば、入れると上等である。
どちらも冬の寒い夜につくり、家族がつつき合って食べる。

 

出典:島田成矩 他. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.172-173

関連書籍詳細

日本の食生活全集32『聞き書 島根の食事』

島田成矩 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910029
発行日:1991/07
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

旧暦十月の神無月も出雲では「神有月」。全国から集まる神々をもてなす心が食生活の中にいまも息づく。汽水湖・宍道湖・中海の豊かな魚介、米どころ出雲平野、豪雪の山間、隠岐まで郷土の食を網羅。
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