聞き書 滋賀の食事 姉川蚕飼いの郷の食より
■田植えどきの小昼の弁当―麦飯、焼きさば、大豆煮、梅干し、たくあん
この時期は、朝の六時ごろから田んぼの仕事にとりかかる。五時ごろの朝食では、昼ごはんまでとてもじゃないが腹がもたん。午前中に一回、午後に一回小昼を食べて一日五食となる。
田植えのときは、朝、夕以外の三回は田んぼで食べる。たまには長浜から売りにくる焼きさばをおかずに買って、いかい(大きな)弁当箱に麦飯をぎゅっと詰め、梅干し、たくあんで塩気を補う。常備菜に大豆を炊いたり、小魚を醤油でからっと炊いたり、一品でも何かをこしらえて弁当のおかずにする。
米どころのこの地域では「腹がへったら飯を食え」といい、飯でほとんど腹をふくらす。
写真:田植えどきの小昼の弁当
麦飯、焼きさば、大豆煮、梅干し、たくあん
出典:橋本鉄男 他. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.173-174