いかい焼きさば弁当を食べて田植えに励む―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年05月24日

聞き書 滋賀の食事 姉川蚕飼いの郷の食より

田植えどきの小昼の弁当―麦飯、焼きさば、大豆煮、梅干し、たくあん
この時期は、朝の六時ごろから田んぼの仕事にとりかかる。五時ごろの朝食では、昼ごはんまでとてもじゃないが腹がもたん。午前中に一回、午後に一回小昼を食べて一日五食となる。
田植えのときは、朝、夕以外の三回は田んぼで食べる。たまには長浜から売りにくる焼きさばをおかずに買って、いかい(大きな)弁当箱に麦飯をぎゅっと詰め、梅干し、たくあんで塩気を補う。常備菜に大豆を炊いたり、小魚を醤油でからっと炊いたり、一品でも何かをこしらえて弁当のおかずにする。
米どころのこの地域では「腹がへったら飯を食え」といい、飯でほとんど腹をふくらす。

写真:田植えどきの小昼の弁当
麦飯、焼きさば、大豆煮、梅干し、たくあん

 

出典:橋本鉄男 他. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.173-174

関連書籍詳細

日本の食生活全集25『聞き書 滋賀の食事』

橋本鉄男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910012
発行日:1991/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

日本最大の湖・琵琶湖には鯉・鮒・もろこなど淡水魚があふれる。ふなずしをはじめ、滋賀県特有の湖魚の食べ方をもらさず紹介。また、近江商人発祥の地に残る本宅(店に対する自宅)の食生活など話題がいっぱい。
田舎の本屋で購入

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