彼岸だんご

連載日本の食生活全集

2021年09月10日

聞き書 青森の食事 津軽の食より

春秋とも、彼岸の中日には必ず家でだんごをつくる。仏壇、寺の位牌堂、お墓の三か所にあげ、親類にも配って互いに交換する。
まず、もち米五升を粉にはたく人と、しの(ふるい)で通す人と、二人がかりでだんごの粉をはたく。
別に、小豆二升をよく洗って水と一緒に大なべに仕かけ、煮たったら湯をすて、また湯を入れて小豆のあくを抜く。三回ほどくり返してからていねいに煮る。よく煮えたら、すりこぎでつぶし、砂糖をいっぱい入れてよく煮つめてあんをつくり、小さく丸めておく。
次に、こね鉢に粉を適宜入れ、熱湯をさっと回しかけ、はし四、五本で手早くかき混ぜた後、まだ熱いうちに手でこねてしとねる。この粉の練り加減がなかなかむずかしい。
しとねた粉を、ほどよいくらいに手でちぎり、手の平に丸く広げた上に小豆あんをのせる。耳を寄せて両手でまとめて包み目を下にしておく。
つるのある大なべの中に中皿を入れ、湯を煮たぎらかし、だんごを入れる。一度に一〇~二〇個ほどゆでるが、だんごがなべの底につかないように、つるを持ってなべを左右にゆすると、中皿がかたかたと音を出して移動し、なべ底につくのを防ぐ。
ゆであがるとだんごは浮くので、形をこわさないようにそっとざるに上げ、冷ましてから重箱に詰める。
大量につくって食べるが、それでも、「だんごを食べたから、ごはんはいらない」とはいわない。だんごはあくまでもおやつなのである。

写真:彼岸の中日にはだんごをつくる(2)
しとねた粉を手の平に丸く広げ、小豆あんをのせる。

 

出典:森山泰太郎 他. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.45-46

関連書籍詳細

日本の食生活全集2『聞き書 青森の食事』

森山泰太郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540860324
発行日:1986/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

二つの藩の伝統を受けつぐ青森県は、二つの半島、三つの海、三つの山脈を頂く。特色ある六つの地域で海の幸・山の幸の四季おりおりのくらしと料理法をちみつに聞き書き。
田舎の本屋で購入

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