押しずし

連載日本の食生活全集

2021年10月11日

聞き書 広島の食事 備北山地の食より


秋祭りには押しずしをつくる。押しずしは仕事の忙しいときには手がかかってできないので、年に二、三度しかつくらない。
とり入れがすみほっとしたときに秋祭りがある。松竹梅などの木の押し型に、砂糖と酢を入れたすし飯を詰める。角に切ったしめさば、さんしょうの塩漬、しゅんぎく、すしの花(鯛の赤いそぼろ)などを上に飾る。
祭りのにぎわいと、押しずしの上の赤、緑の具と酸味のあるさばがよく合う。祭りのときは仕事からも解放されて、おいしく食べる。

写真:秋祭りの押しずし
松竹梅の木の押し型(左)にすし飯を詰めて抜き、上にしめさば、さんしょう、しゅんぎく、すしの花などを飾る。

 

出典:神田三亀男 他. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.208-208

関連書籍詳細

日本の食生活全集34『聞き書 広島の食事』

神田三亀男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540870668
発行日:1987/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

"耕して天に至る"瀬戸内の島の味の基本はひしお味噌、広島湾のかきには「いろは48種」の料理。備北山地では日本海のわにが、芸北山間では石州からの魚が食卓を飾る。
田舎の本屋で購入

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