聞き書 兵庫の食事 淡路の食より
■節分
節分のことを「年越し」ともいい、炒り豆をまいて鬼追いをする。厄年の人は厄神さん(北阿万村の薬王寺)へもうで、境内の舞台から丸もちをまいて厄払いをする。男の四二歳は大厄といい、この年を無事に越えるよう、「初老の祝い」をする。これは結婚式にも劣らぬほど盛大にする。日は決まっていないが、年越しまでにすませる。
節分の翌日は立春。鬼追いの炒り豆を茶わんの糸底でごろごろと押して割り、水につけてふやかし、飯に炊きこんで七茶飯をつくる。神棚に供え、家族も食べる。赤いわし(大羽いわし)を焼いておかずにする。赤いわしは災いを逃れるというだけでなく、寒のころはよく脂がのっておいしい。
写真:七茶飯
節分の炒り豆の残りで炊く。
出典:和田邦平 他編. 日本の食生活全集 28巻『聞き書 兵庫の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.291-293