聞き書 岡山の食事 吉備高原の食より
田んぼには、れんげ、油菜、あぜ道にはたんぽぽ、すみれ、山にはつつじと、家をとりまく景色は美しい。
三月三日は桃の節句である。上巳の節句ともいう。菱もち、赤飯、すし(五目ずし、押し抜き、巻きずし)、煮しめをつくる。前日に、よもぎを入れたよもぎもちと白もちを搗き、のしもちにしておき、菱形に切る。束ねかんぴょう、里芋、ごぼう、にんじん、しいたけ、わらび、ぜんまいの煮しめ、巻きこぶ、ゆで卵を重箱や皿に盛り、床に飾った雛天神に供える。子どもたちは弁当(重箱)を持って、近くの眺めのよい手ごろな遊び場のある山に登り、ずり(山すべり)や花見をして一日中楽しく遊ぶ。
写真:桃の節句の重箱
子どもたちは、めいめいこの弁当を持って山に登り、1日中遊ぶ。
出典:鶴藤鹿忠 他編. 日本の食生活全集 33巻『聞き書 岡山の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.179-181