聞き書 長野の食事 木曽の食より
お盆の十三日は松明を持って、仏さまをお墓に迎えにいく。盆棚をつくって、仏さまに家でとれたゆうがお、きゅうり、なす、じゃがいもなどの野菜を進ぜ、そうめんかうどん、煮ものや野菜のてんぷらをかしわの葉にのせて進ぜる。施餓鬼旗は虫よけになるといって、畑に立てる。
十五日は松明を持って、仏さまを送っていく。ふだんはてんぷらなど食えないが、お盆には食える。おまいりに来てくれる人もあるので、五平もちなどをつくって食べる。十六日は「餓鬼の首」(やぶ入りのこと)で、盆棚を片づけるが、一日中、仕事はいっさいしないで休む。
写真:お盆のお供え
上:〔左から〕そうめんと煮もの、きゅうりとなす/下:〔左から〕きゅうりの酢のもの、野菜のてんぷら(かしわの葉にのせる)
出典:向山雅重 他編. 日本の食生活全集 20巻『聞き書 長野の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.71-72