村祭りはもちと赤飯、お盆は野菜のてんぷらを供えて―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2022年08月12日

聞き書 長野食事 木曽の食より


お盆の十三日は松明を持って、仏さまをお墓に迎えにいく。盆棚をつくって、仏さまに家でとれたゆうがお、きゅうり、なす、じゃがいもなどの野菜を進ぜ、そうめんかうどん、煮ものや野菜のてんぷらをかしわの葉にのせて進ぜる。施餓鬼旗は虫よけになるといって、畑に立てる。
十五日は松明を持って、仏さまを送っていく。ふだんはてんぷらなど食えないが、お盆には食える。おまいりに来てくれる人もあるので、五平もちなどをつくって食べる。十六日は「餓鬼の首」(やぶ入りのこと)で、盆棚を片づけるが、一日中、仕事はいっさいしないで休む。

写真:お盆のお供え
上:〔左から〕そうめんと煮もの、きゅうりとなす/下:〔左から〕きゅうりの酢のもの、野菜のてんぷら(かしわの葉にのせる)

 

出典:向山雅重 他編. 日本の食生活全集 20巻『聞き書 長野の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.71-72

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集20『聞き書 長野の食事』

向山雅重 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540860768
発行日:1986/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

十州に境を連ねる信州の山と川、四つの平の恵みを生かしきる女の技を収録。木曽のすんき漬、東信の野沢菜漬、中信の稲扱菜など、特徴ある野菜がいっぱい。海こそなけれよろず足らわぬことなき暮らしと食を聞書きする。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事