味に深みを増す秋野菜―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年09月06日

聞き書 岐阜の食事 飛騨白川の食より

風が涼しさを感じさせて秋がはじまる。桑のあるかぎり蚕を飼い、山には木の実が熟れ、とちの実や栗をひろいに行く。畑の野菜の実入りもよく、自然の恵みをこれほどまでに豊かに受けられるときはない。
山峡の秋は短い。秋のとり入れは、同時に冬じたくへとつながっていく。
昼―朝の残りごはんと味噌汁、じゃがいもの煮っころがし、漬物
朝の残りのひえ飯と味噌汁、じゃがいもの煮っころがしが食膳に出される。径一寸ぐらいの大きさのじゃがいもである。よく水洗いし、皮のついたまま油で炒り、たまり汁で煮つめていく。皮にしわが寄って味が少しいもにしみこんでいる。皮ごと食べられておいしい。

 

出典:森基子 他編. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.74-75

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集21『聞き書 岐阜の食事』

森基子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540900044
発行日:1990/4
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

飛騨は山の恵み、美濃は川の恵み豊かな国。米と繭の国だが、雑穀や山菜、木の実も大切な食糧。味噌・漬物・どぶろくなど発酵食品がよく発達している。山・川の恵みを受けた八つの地区の暮らしと食を収録。
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