聞き書 神奈川の食事 川崎近郊農村の食より
■夕飯―麦飯、しじみのおみおつけ、さんまの塩焼きに大根おろし、紅しょうが、らっきょう漬
生のさんまが手に入ると、七輪に炭火をおこし、塩焼きにする。脂がよくのっているので煙がひどい。用水からとったしじみはおみおつけにする。
五目も家中の好物なので、秋に限らずよくつくる。紅しょうがをふりかけると美しく、おかわりしてよく食べる。そういう晩は、ねぎのおつゆ、漬物を添える。五目に、どじょうの卵とじやこまつなのごまよごしをつけることもあり、いっそうごちそうの感じがする。
秋もおそくなると、にんじん、里芋、聖護院、ごぼうなどの根もの野菜を掘りとり、庭先に埋けておき、冬にかけて手をかけたおかずにして食べる。
写真:秋の夕飯
上:さんまの塩焼きと大根おろし、紅しょうが/中:らっきょう漬/下:麦飯、しじみ汁
出典:遠藤登 他編. 日本の食生活全集 14巻『聞き書 神奈川の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.74-75