鍛冶職人は生くさ気がないと力が出ん――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年02月03日

聞き書  大阪の食事 大阪町場の食より

平川家の近所に店はなく、買いものは行商人に頼るか、綾之町まで出かける。食事は、家族と見習いの住みこみ職人や独り者の職人が一緒にとるので、たくさん手に入る材料でつくることが多い。
朝飯――おかい、目刺し、中じゃこのつくだ煮、こうこ
朝は年中おかい(茶がゆ)を炊く。耳(つば)のある大釜に茶袋に入れた粉茶を炊きだし、洗った米を入れて炊く。茶は上等でないほうが色がよく、かゆはさらさらしているのがおいしい。
おかずは目刺しをあぶる。大将は「生くさ気がないと力が出ん」といい、かたい目刺しが好きだ。力仕事をする職人にも食べさせる。
中じゃこ(一寸くらいのかたくちいわしの煮干し)のつくだ煮もこうこ(たくあん)も家でつくる。

写真:冬の朝食
おかい、目刺し、こんぶのつくだ煮とこうこ

 

出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.64-65

関連書籍詳細

日本の食生活全集27『聞き書 大阪の食事』

上島幸子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540900099
発行日:1991/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 392頁

商人の町・大阪は、日本中の一流の物産が集まる「天下の台所」。船場、天満の商家、月給取り、近在の農家・漁家の食卓に、「食い倒れ」の真相を探る。写真を添えて料理を再現した食の歳時記。
田舎の本屋で購入

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