聞き書 大阪の食事 大阪町場の食より
平川家の近所に店はなく、買いものは行商人に頼るか、綾之町まで出かける。食事は、家族と見習いの住みこみ職人や独り者の職人が一緒にとるので、たくさん手に入る材料でつくることが多い。
■朝飯――おかい、目刺し、中じゃこのつくだ煮、こうこ
朝は年中おかい(茶がゆ)を炊く。耳(つば)のある大釜に茶袋に入れた粉茶を炊きだし、洗った米を入れて炊く。茶は上等でないほうが色がよく、かゆはさらさらしているのがおいしい。
おかずは目刺しをあぶる。大将は「生くさ気がないと力が出ん」といい、かたい目刺しが好きだ。力仕事をする職人にも食べさせる。
中じゃこ(一寸くらいのかたくちいわしの煮干し)のつくだ煮もこうこ(たくあん)も家でつくる。
写真:冬の朝食
おかい、目刺し、こんぶのつくだ煮とこうこ
出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.64-65