聞き書 大阪の食事 摂津山間の食より
■晩ごはん――麦飯、大根とずいきいもの炊いたん、漬物
朝夕、まず牛にまぜ(餌)をやってからの食事になる。細かく切ったわらを湯でやわらかくし、ぬかなどを入れて練ったまぜを牛にやる。
昼からかんてき(七輪)にかけておいた大根やずいきいもは、おかまさん(かまど)にかけるとすぐやわらかくなり、味がよくしゅんで(しみこんで)おいしい。冬は炊いたもん(煮もの)が多く、ごぼうの炊いたん、ごぼうやにんじんを入れた五目豆をつくったり、干した雑たけ(雑きのこ)と大豆を炊いたりする。塩さばや塩鮭などが手に入れば焼く。漬物は千枚漬などを出して目先をかえる。
仕事の軽い冬には、米の節約も兼ねて、大根の味噌汁に米粉のだんごを入れた「ぼうりだんご」もよくつくる。
冬の間、おかあさん(姑)はずっと家にいてわら仕事をするが、ほかの者は、夜なべにわら仕事をする。土間で縄ない、俵編み、炭俵編み、寒天のこも編みをする。寒天のこもは寒天屋が買ってくれる。牛の靴つくりも夜なべ仕事である。
写真:冬の晩ごはん
上:〔左から〕漬物(千枚漬ほか)、焼き魚(さば)/下:麦ごはん、大根とずいきいもの炊いたん
出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.254-256