かますご、たけのこ、ふきで春を味わう――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年03月24日

聞き書 大阪の食事 天満雑貨商の食より

夕ごはん――たけのこごはん、かますごのしょうが酢醤油かけ、半助豆腐、おこうこ
たけのこごはんにはあぶらげも入れる。家族の好物なので、たけのこの季節には一週間に一度は炊く。かますご(いかなご)はゆがいて売っているので、さっと焼いてすぐしょうが酢醤油で食べる。簡単で丸ごと食べられるのでよく食卓にのぼるが、気温が上がると全く姿を消す。早春だけの魚である。
うなぎのかば焼きの頭の部分を半助といい、これとお焼きを炊いた半助豆腐は、おかずがちょっと少ないときに添える。お焼きにかば焼きの味がしみてとてもおいしい。
たけのこを入れたばらずし、肉じゃが、新たまねぎとみつばを使った親子どんぶりもつくる。たまにはたまねぎとひき肉を炒めて卵と混ぜ、オムレツも焼く。また、ひき肉入りのじゃがいものコロッケもつくる。オムレツとコロッケは、旦那さんが商いに行く会社のまかないから習ってきて伝えたものである。
このほか、生節とたけのこやふき、お焼きと炊く。かれいやかつおは煮つけ、さわらは塩焼きにする。かつおのたたきは「八百留」につくってもらって、一、二度賞味する。

写真:春の夕ごはん
上:かますごのしょうが酢醤油かけ、半助豆腐/中:おこうこ、かますごを小皿にとったもの/下:たけのこごはん、半助豆腐をもりつけたもの

 

出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.80-82

関連書籍詳細

日本の食生活全集27『聞き書 大阪の食事』

上島幸子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540900099
発行日:1991/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 392頁

商人の町・大阪は、日本中の一流の物産が集まる「天下の台所」。船場、天満の商家、月給取り、近在の農家・漁家の食卓に、「食い倒れ」の真相を探る。写真を添えて料理を再現した食の歳時記。
田舎の本屋で購入

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