聞き書 大阪の食事 天満雑貨商の食より
■夕ごはん――たけのこごはん、かますごのしょうが酢醤油かけ、半助豆腐、おこうこ
たけのこごはんにはあぶらげも入れる。家族の好物なので、たけのこの季節には一週間に一度は炊く。かますご(いかなご)はゆがいて売っているので、さっと焼いてすぐしょうが酢醤油で食べる。簡単で丸ごと食べられるのでよく食卓にのぼるが、気温が上がると全く姿を消す。早春だけの魚である。
うなぎのかば焼きの頭の部分を半助といい、これとお焼きを炊いた半助豆腐は、おかずがちょっと少ないときに添える。お焼きにかば焼きの味がしみてとてもおいしい。
たけのこを入れたばらずし、肉じゃが、新たまねぎとみつばを使った親子どんぶりもつくる。たまにはたまねぎとひき肉を炒めて卵と混ぜ、オムレツも焼く。また、ひき肉入りのじゃがいものコロッケもつくる。オムレツとコロッケは、旦那さんが商いに行く会社のまかないから習ってきて伝えたものである。
このほか、生節とたけのこやふき、お焼きと炊く。かれいやかつおは煮つけ、さわらは塩焼きにする。かつおのたたきは「八百留」につくってもらって、一、二度賞味する。
写真:春の夕ごはん
上:かますごのしょうが酢醤油かけ、半助豆腐/中:おこうこ、かますごを小皿にとったもの/下:たけのこごはん、半助豆腐をもりつけたもの
出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.80-82