端午の節句にまきを巻く――晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2023年05月03日

聞き書 徳島の食事 祖谷山の食より

端午の節句
旧五月五日はまきを巻く。まきは、小麦粉に塩を入れて練ったものを細長い形にして、よしの葉五枚ぐらいで包み、しろ(しゅろ)の葉を割いたもので巻いてゆでる。
まきを炊いた汁で足を洗うと、はめ(毒へび)にかまれないというので、毎年、必ず洗っている。はめはよく見かける。畑仕事も、山仕事もぞうりなので危ないが、おかげでかまれたことはない。 また、すしやきな粉のぼたもちをつくる。白米をやわらかく炊いて、砂糖と塩を混ぜ、丸くにぎり、きな粉をまわりにつける。きな粉には味をつけないが、ごはんに味がついていておいしい。
しょうぶを仏にまつり、お茶を入れるときにもやかんに二、三本そのまま入れる。おなかの痛い人は、しょうぶの葉を腹に巻き、頭の痛い人は頭に巻く。
五月の節句には、こんにゃく、にんじん、ごぼう、ぜんまいの煮しめの中にしおでの新芽も入れて煮しめる。

写真:端午の節句のごちそう
左上:よしの葉で巻いたまき/右上:ごはんに味をつけてきな粉をまぶしたぼたもち/下:すし

 

出典:立石一 他編. 日本の食生活全集 36巻『聞き書 徳島の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.77-79

関連書籍詳細

日本の食生活全集36『聞き書 徳島の食事』

立石一 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540900075
発行日:1990/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

祖谷そばにたらいうどん、いろりのそばで香りたつでこまわし。渦潮にもまれて育つ魚やわかめ。海・山のバラエティ豊かな暮らしと食を祭事とともに再現。藍商人の食事も再現。
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