聞き書 福井の食事 奥越山間の食より
夏は、じゃがいも、きゅうり、なす、なんきん、なたまめと、野菜がたくさんとれるので、煮しめやおつけの実、早漬(ぬか漬)などにして食べる。きゅうりを煮てくずまわし(くず粉の水溶きでとろみをつける)にして食べると、腹薬ともいわれる。とうきび、すいか、うりなどは子どもたちの格好のおやつである。
朝げは五時ころで、ひえ飯に、なすやじゃがいものおつけと、きゅうりやなす、うりの早漬などですます。昼も、ひえ飯とじゃがいものちんころ煮や、常備菜としてつくっておいた煮豆、それにたくわんくらいである。
山仕事に出るときは、めんぱにひえ飯、菜鉢に煮しめを詰めていく。山仕事には家族中で行く。山でのおやつは、きゅうりに塩をつけての丸かじりや、にんにくの丸かじりである。若なすと味噌を持っていき、生のまま食べることもある。
写真:山仕事に出るときの弁当
めんぱにひえ飯と梅漬、菜鉢に煮しめを詰める。
出典:小林一男 他編. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.93-94