豊富な夏野菜を煮しめや早漬に――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年05月26日

聞き書 福井の食事 奥越山間の食より


夏は、じゃがいも、きゅうり、なす、なんきん、なたまめと、野菜がたくさんとれるので、煮しめやおつけの実、早漬(ぬか漬)などにして食べる。きゅうりを煮てくずまわし(くず粉の水溶きでとろみをつける)にして食べると、腹薬ともいわれる。とうきび、すいか、うりなどは子どもたちの格好のおやつである。
朝げは五時ころで、ひえ飯に、なすやじゃがいものおつけと、きゅうりやなす、うりの早漬などですます。昼も、ひえ飯とじゃがいものちんころ煮や、常備菜としてつくっておいた煮豆、それにたくわんくらいである。
山仕事に出るときは、めんぱにひえ飯、菜鉢に煮しめを詰めていく。山仕事には家族中で行く。山でのおやつは、きゅうりに塩をつけての丸かじりや、にんにくの丸かじりである。若なすと味噌を持っていき、生のまま食べることもある。

写真:山仕事に出るときの弁当
めんぱにひえ飯と梅漬、菜鉢に煮しめを詰める。

 

出典:小林一男 他編. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.93-94

関連書籍詳細

日本の食生活全集18『聞き書 福井の食事』

小林一男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870187
発行日:1987/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

木の芽峠を境に嶺南と嶺北に分かれる福井県は越前と若狭の二国から成る。報恩講を開いては食を共にして絆を深めあう越前、海の幸と山の幸がともに食膳にのぼる若狭の国。
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