聞き書 島根の食事 江の川流域の食より
■夕はん――麦飯、にらの味噌汁、あゆの塩まき、漬物
夏になると、江川では川魚がよくとれるようになる。夏休みに入った子どもたちが、夕はんのおさいの川魚とりを引き受ける。夕方、うなぎかごとか、みみずをつけた針を川底に仕かけ、翌朝、薄暗いうちに引き上げにいく。獲物は、うなぎ、ぎぎ、ごっぽう(どんこ)など。煮たり焼いたりして食べる。
小川では、しじみやにら(川にな)がとれる。どちらも夏負けを防ぐといって、味噌汁にして食べる。
あゆは大人たちがとる。塩をふって竹串にさして焼く。これを、このあたりでは「あゆの塩まき」という。
写真:夏の夕はん
菜台:〔上左から〕しその実の味噌煮、らっきょう漬/〔下〕地かぶの切り漬、きゅうりの塩漬となすびの塩漬とこうこ/箱膳/麦飯、あゆの塩まき、にらの味噌汁
出典:島田成矩 他編. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.158-160