聞き書 富山の食事 氷見灘浦の食より
■盂蘭盆
八月十五日と十六日は盂蘭盆で、嫁に行った娘や婿はんや孫が先祖の墓まいりに来る。墓掃除は盆前にしておく。二日間とも朝からまるまる盆日である。
お盆のごっつおは、まず、そうめんで、しいたけ、かんぴょう、ねぎなどを入れただし汁をそうめんにかける。そのとき実も一緒に入れる。だしは煮干しかかつお節でとるととてもうまい。
煮もんは、こずくら(ぶりの幼魚)の素焼きとねぎの煮もんで、醤油で味つけする。
塩もぞこは塩出しし、湯にくぐらせて酢醤油で味つけし、しょうがをおろして上にのせて食べる。
ところてんは冷たくし、かつお節としいたけでだしをとって醤油味をつけた汁をかけて食べる。その上に酢とおろししょうがをかける人もいる。ところてんは食欲をそそって大変おいしい。
写真:盂蘭盆の膳
もぞこの酢のもん、こずくらの素焼きとねぎの煮もん、そうめん、ところてん
出典:堀田良 他編. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.133-135