寒い日はあゆだしの汁ものが一番――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年12月12日

聞き書 愛媛食事 肱川流域(大洲)の食より

昼――麦ごはん、すり大根、いりこ、しょいのみ、お葉漬、こうこ
百姓は忙しいから、一〇時の昼食は簡単なものですませる。いりこ味噌や少々のいりこがあれば、平素よりましなおかずである。「百姓の早食い、芸のうち」という言葉があるように、かきこむようにすませる。若嫁は赤ん坊に乳を飲ませながら食べたり、忙しいときはおむすびを立食いすることもある。
舟乗りたちの弁当は、わっぱか柳行李に詰めた丸麦飯としょいのみ、こうこ(たくあん)が主で、いりこが添えてあればごっつぉうぶり(ごちそう)である。
焚きもんこりに行って山で食べる弁当も舟乗りたちの弁当とほぼ同じで、すきっ腹にはとてもうまい。子どもたちは疲れると、おなご竹にばくさ(雑穀もち)やかきもちをはさんで焼いたり、焼きいもをしたりして楽しむ。

写真:冬の昼食
上:〔左から〕しょいのみ、かぶのお葉漬/下:〔左から〕麦ごはん、いりこ入りすり大根/右の皿:こうこ

 

出典:森正史 他編. 日本の食生活全集 38巻『聞き書 愛媛の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.75-76

関連書籍詳細

日本の食生活全集38『聞き書 愛媛の食事』

森正史 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540880452
発行日:1988/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

魚あふれる瀬戸内、宇和の海。春はいだが川面をさかだて夏はあゆが水底に踊る肱川。五穀ゆたかな山間の田畑。海、山、川、平野の四季の移ろいと暮らし、食をつぶさに描く。
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