聞き書 山形の食事 庄内山間の食より
■夕飯――いも子飯、味噌汁、山菜の煮もの、いわしのぬか漬、どぶ漬
冬の飯がては大根が一番多いが、このほかにかぼちゃ、二度いも、からとりの子いもなども使う。入れるものが変わることで、味に変化がつくということもあるが、そうはいっても、かて飯は食事を楽しむというような、なまやさしい食べものでは決してない。
夕飯のお菜はたれ(味噌だまり)で味つけした煮ものが多い。いもや大根ににし(干しにしん=身欠きにしん)の味を効かせる。つぶし豆を入れて、干しこごめ(こごみ)やかたくりを煮ることもある。つぶし豆は、大豆に熱湯をかけ、二、三分つけて金槌でたたいたものである。
外仕事で疲れた日は、ぬか漬けしたいわしやにしお(生にしん)を食べる。
山行きの男衆は、一冬に四、五羽のやまどりやうさぎをとってくる。二足、四つ足のものは火の神さまがきらうというので、いろりではなく台所か外で煮炊きする。ごんぼ、ねぎ、いもの茎、きのこなど、いろいろ入れて味噌汁にする。こんな日は、どぶろくもついて機嫌よく、みんな温まる。
写真:冬の夕飯
上:いわしのぬか漬、こごめの煮もの/中:へらなの塩漬/下:いも子飯、いもの茎の味噌汁
出典: 木村正太郎 他編. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.258-261