聞き書 群馬の食事 奥利根の食より
■朝――麦飯、味噌汁、おひたし
おもに春から夏のごはんは、麦飯が中心になる。一升を炊くのに米五合麦五合の割合を半飯といい、ときによって麦は三割から七割くらいとさまざまである。大きな釜で煮るので麦飯もうまい。朝、夜の分まで炊いておく。
味噌汁には、うぐいすな(早春に播く菜)をいっぱい入れる。じゃがいもも入れる。
秋に播いたほうれんそうが、春の日を浴びてほきて(伸びて)いる。それを切ってきておひたしにする。かつぶしをかけることもある。お祝いの引出物などにいただいたものをけずって使うからおいしいけれど、手間がかかる。
写真:春の朝食
麦飯、ほうれんそうのおひたし、うぐいすなの味噌汁
出典: 志田俊子 他編. 日本の食生活全集 10巻『聞き書 群馬の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.28-30