楽しみいっぱい、ひな祭りの弁当――晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2024年04月03日

聞き書 島根食事 城下町津和野の食より

ひな祭り
女の子の節句、ひな祭りは四月三日にする。財間家では蔵から人形を出して座敷に飾り、紅白の菱もちを搗いて、おいり、白酒、桃の花とともに供える。おいりは、黒豆、あられ、米を炒って砂糖醤油を煮つめてからませたものである。
ひな祭り用三重のお重は子ども用で小さく、下段に赤飯、中段に卵焼き、かまぼこ、酢ばす、みかん、上段にさつまいものきんとん、羊かん、さつまいものてんぷらなどを盛り合わせる。大しぼのちりめんでつくったはし袋を着物の懐にはさみ、手提げのついたお重を持って友だちと家々を回るのは、女の子たちのなによりの楽しみである。 

写真:ひな祭りのお重
左の重:みかん、酢ばす、卵焼き、かまぼこ/中の重:きんとん、羊かん、てんぷら/右の重:赤飯

 

出典: 島田成矩 他編. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.252-253

関連書籍詳細

日本の食生活全集32『聞き書 島根の食事』

島田成矩 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540910029
発行日: 1991/7
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

旧暦十月の神無月も出雲では「神有月」。全国から集まる神々をもてなす心が食生活の中にいまも息づく。汽水湖・宍道湖・中海の豊かな魚介、米どころ出雲平野、豪雪の山間、隠岐まで郷土の食を網羅。
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