連載日本の食生活全集

2024年07月02日

聞き書 岐阜食事 古川盆地(国府)の食より

海の魚
山国でも、魚はもっぱら越中から入ってくる。一部には無塩の魚もあるが、これはごくごく限られた裕福な家用であり、ほとんど塩ものか干ものである。干どんぼ(背開きにした大きな干しいわし)、たたかれいわし(大きめの干しいわし)、干いわし、塩ます、塩いか、煮いか、干しえびなどをぼてふり(行商人)から購入する。
塩いかの胴いっぱいに詰めこまれた塩は、漬物や飼い葉に使うし、塩抜きの水さえも煮しめに使うとうまくなるといって、すてないで利用する。客用には、塩鮭を塩抜きして酒粕に漬けこみ、おいしくする。「無塩ものが食える身分になりたい」というのが飛騨びとに共通する願いである。

写真:塩いか

 

出典:森基子 他編. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.48-49

関連書籍詳細

日本の食生活全集21『聞き書 岐阜の食事』

森基子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540900044
発行日: 1990/5
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

飛騨は山の恵み、美濃は川の恵み豊かな国。米と繭の国だが、雑穀や山菜、木の実も大切な食糧。味噌・漬物・どぶろくなど発酵食品がよく発達している。山・川の恵みを受けた八つの地区の暮らしと食を収録。
田舎の本屋で購入

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