めばる、手のはらだごで力をつける──日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年07月04日

聞き書 福岡食事 筑紫平野の食より

ゆあがり――谷がにのから揚げ、さばの茶漬、きゅうりやなすびの塩もみ
夏の夕食は夜八時ころになってしまう。一日の激しい労働を終え、湯にも入って、やっとゆっくりした気分で食べるゆあがり(夕上がり)は、明日への活力のもとになる。ひらかし麦飯もたっぷり、おかずも品数を多くする。原川では谷がにがとれるが、油で揚げ、さっと塩をするととてもおいしい。ことに酒のさかなにはなによりである。さばはよく食べる魚で、煮つけにもするが、なんといっても新鮮なものを茶漬にするのがおいしい。たらわた(たらの内臓)もお盆にかぎらず、煮つけて食べる。

写真:夏のゆあがりに食べるさばの茶漬

 

出典:中村正夫 他編. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.110-113

関連書籍詳細

日本の食生活全集40『聞き書 福岡の食事』

中村正夫 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540860775
発行日: 1987/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

玄界灘・有明海・周防灘の三つの海と、筑後川・遠賀川などの豊かな水にうるおう古代国家発祥の地・福岡の食は、ロマンと豊饒、篤き信仰心と伝統に育まれている。
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