聞き書 福岡の食事 筑紫平野の食より
■ゆあがり――谷がにのから揚げ、さばの茶漬、きゅうりやなすびの塩もみ
夏の夕食は夜八時ころになってしまう。一日の激しい労働を終え、湯にも入って、やっとゆっくりした気分で食べるゆあがり(夕上がり)は、明日への活力のもとになる。ひらかし麦飯もたっぷり、おかずも品数を多くする。原川では谷がにがとれるが、油で揚げ、さっと塩をするととてもおいしい。ことに酒のさかなにはなによりである。さばはよく食べる魚で、煮つけにもするが、なんといっても新鮮なものを茶漬にするのがおいしい。たらわた(たらの内臓)もお盆にかぎらず、煮つけて食べる。
写真:夏のゆあがりに食べるさばの茶漬
出典:中村正夫 他編. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.110-113