聞き書 福岡の食事 豊前山間の食より
秋の収穫が終わると、自分の家で使うものを確保し、販売量を決め、貯蔵をする。この時期が農家では一番楽しい時期である。
このころの日常食は麦飯、いも飯、だんご汁。上村家の場合、麦飯の米と麦の割合は四対六である。新米がとれるので、多少白米を多く使う。野菜の煮つけは大根、にんじん、ごぼう、じゃがいも、豆類、なす、かぼちゃなどを使う。味噌汁、床漬が多く、ときには栗飯、なば飯などをつくる。
秋は豊前海で多量にあみがとれるので、塩漬にして、漁家では販売する。麦飯に漬けあみはよく合うので、ごはんが多く食べられる。安くておいしいので農家では秋に必ず買う。
写真:秋の昼食
麦飯、漬けあみとしゅんぎく、なすの漬物
出典:中村正夫 他編. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.277-279