なばを使った秋の味覚のいろいろ──日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年10月01日

聞き書 福岡食事 豊前山間の食より


秋の収穫が終わると、自分の家で使うものを確保し、販売量を決め、貯蔵をする。この時期が農家では一番楽しい時期である。
このころの日常食は麦飯、いも飯、だんご汁。上村家の場合、麦飯の米と麦の割合は四対六である。新米がとれるので、多少白米を多く使う。野菜の煮つけは大根、にんじん、ごぼう、じゃがいも、豆類、なす、かぼちゃなどを使う。味噌汁、床漬が多く、ときには栗飯、なば飯などをつくる。
秋は豊前海で多量にあみがとれるので、塩漬にして、漁家では販売する。麦飯に漬けあみはよく合うので、ごはんが多く食べられる。安くておいしいので農家では秋に必ず買う。

写真:秋の昼食
麦飯、漬けあみとしゅんぎく、なすの漬物

 

出典:中村正夫 他編. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.277-279

関連書籍詳細

日本の食生活全集40『聞き書 福岡の食事』

中村正夫 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540860775
発行日: 1987/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

玄界灘・有明海・周防灘の三つの海と、筑後川・遠賀川などの豊かな水にうるおう古代国家発祥の地・福岡の食は、ロマンと豊饒、篤き信仰心と伝統に育まれている。
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