いわしの丸ずし

連載日本の食生活全集

2020年06月02日

聞き書 大分の食事 宇佐平野の食より

いわしは日ごろから、豊前の海から振り売りのおばさんが持ってくるのをよく買うが、五月五日の節句や祭りなどにはいわしの丸ずしをつくる。いわしの生きのいいものが手に入れば、ふだんでもつくることもある。
前の日に、買ったいわしの頭をとり、はらわたを出して、開いたまま一晩塩をしておく。翌朝、水でよく洗い、砂糖を入れた酢に一、二時間つける。頭はとらずに使うこともある。
米を炊き、いわしをつけておいた甘酢を合わせて酢飯をつくる。開いたいわしの身側を上にして置き、酢飯を腹に詰めるようにのせ、いわしを上に向け直して形をととのえる。食べるときに適当な大きさに切る。

 

出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.259-260

関連書籍詳細

日本の食生活全集44『聞き書 大分の食事』

波多野道義 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540920011
発行日:1992/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

豊後・大分は、その名のとおり「豊の国」。県内各地には名物料理が目白押し。大分市の「ほうちょう」、豊後水道沿岸の「さつま」「かまぼこ」、竹田の頭料理、臼杵の黄飯、きらすま飯、日田盆地のがめ煮……。
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