聞き書 富山の食事 砺波散居村の食より
■朝飯―ごはんとよもぎののしだご、煮もの、ふきたちのよごし、ふきたちのおつけ
よもぎののしだごは、前年の春に摘んで乾燥させた山のよもぎを使う。香りがあってやわらかく、新の山のよもぎがとれるころまで食べる。里のよもぎは、小豆どりのよもぎもち(草もちともいう)にする。
朝は忙しくても、田んぼの仕事がきついので、しっかりと腹ごしらえをする。ちょっとした煮もの一品を食膳に加える家も少なくない。煮ものの材料は、塩漬の山菜や、この春とれた山菜などいろいろであるが、ことに春一番にとれるあぶらなのふきたちをたっぷり使う。田んぼ一面に植えてあるので、よごしやおつけの実として、荒起こしをはじめる前まで毎日のように食べる。ふきたちがたくさんとれる家では、井波の紡績工場や、福野の二と七のつく日の朝市に売りに行く。
写真:春の朝飯
ごはんとよもぎののしだご、ふきたちのおつけ、ふきたちのよごし、煮もの、たくわん
出典:堀田良 他編. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.23-26