聞き書 福井の食事 奥越山間の食より
八ちゃ柿といって、少し大きめの柿は、もいできたら、家の中でしばらくそのまま置いておくと、ひと月くらいでやわらかく、甘く熟してくる。これをうませ柿という。もっと早く熟させたいと思うときは、はしで二、三か所つっついておく。
このまま食べてもおいしいが、大麦やとうきびを炒って粉にしたえりこに、うませ柿の皮や種をとり除いたものを入れてよく混ぜ合わせると、甘くておいしい。これを柿えりこという。
写真:炒ったとうきび(右上の皿)を石臼でひいて、えりこ(右下の皿)にする。これに熟した八ちゃ柿(左)を入れて、はしで練るとできあがり。
出典:小林一男 他. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.128-128