聞き書 福島の食事 会津山間(南郷)の食より
寒い地方は漬物がおいしい。白菜に身欠きにしん、きのこなどを入れて漬けると、ちょっと生ぐさいが独特な味がしておいしいものである。
材料は白菜五個に対してにんじんの長いもの一、二本、身欠きにしん二〇本から三〇本、こうじ一升、塩抜ききのこ五〇〇匁、塩一五〇匁を用意する。
白菜は一寸幅に切る。にんじんは短冊切りにする。身欠きにしんはよく洗って長さ一寸に切る。きのこの大きいものは食べやすい大きさにして、材料を全部混ぜ合わせる。こうじはぬるま湯をかけておく。
桶に材料を一寸くらいの厚さに入れ、塩とこうじをふる。これをくり返して漬けてゆく。一番上に塩をほんの少し多めにふり、押しぶたをし、重石をのせる。ごみが入らないように覆っておく。半月ほどしてから食べはじめる。
出典:柏村サタ子 他. 日本の食生活全集 7巻『聞き書 福島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.119-120