聞き書 新潟の食事 古志の食より
かんじょう煮もんは年とりのごちそうである。まず、かんぴょうを石だたみの型に結んだもの、ゆり根、さつまいも、里芋、じゃがいも、はす根、にんじん、ごぼう、こんにゃく、油揚げ、豆腐、結びこぶ、干し貝、栗など、とれたものと買ったものをとり混ぜ(一二~一六品くらい)、なるべく一つもの(切らないもの)か、大きく二つ切りくらいに材料をととのえる。すまし汁をもとにして、暮れのしまい市で買ってきた醤油と黒砂糖を少し入れ、うまうまと味つけした、たっぷりの汁の中でていねいに一品ずつ煮あげ、つぎつぎと大きな木鉢の中に入れておく。多めの汁で煮ることと、一品ずつ煮ぐあいを見ながらていねいに煮ふくめるのがこつである。
ざくざく煮もんは、かんじょう煮もんと同じような材料を、乱切りにざくざく切って一緒に煮こむ。これは年始客とか、そのほか人を招いたときにつくる。大鉢に盛り入れておき、つき出しにし(一人一人に盛らないで、お膳の前におく)、取り回して食べる。
写真:かんじょう煮もん
出典:本間伸夫 他. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.165-166