聞き書 千葉の食事 九十九里海岸の食より
秋から冬の寒い日につくる味噌汁である。
大きい大根一本を三分くらいの厚さの輪切りにする。背黒いわしを三〇ぴきくらい用意し、頭とはらわたを除いて水洗いし、大なべに大根の輪切りとともに入れ、たっぷりかぶるほどの水を入れる。おたま半分くらいの味噌を加えて、ことこと煮る。醤油味の汁でもよい。
熱いところをふきふき食べる。わんに、ちんぴ(ふくれみかん〈小さくて香りのよいみかん〉の皮を干したもの)を少し入れると香りがよい。
宵越しにすると大根に味がしみてうまい。聖護院大根も甘みがあってやわらかく、宵越しの輪切り汁にはもってこいである。
写真:宵越しの輪切り汁 背黒いわしのだしをきかせ、輪切り大根を入れて。
出典:高橋在久 他. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.41-42