聞き書 長野の食事 諏訪盆地の食より
凍み大根は、大根を切らないで、丸のままつくる方法と、切ってつくる方法がある。丸のままつくる方法は、八ヶ岳山麓の高冷地でおもに行なわれるもので、洗った大根をそのままひもで連にして軒先などへつるしておく。切ってつくる方法は、皮をむいて、三、四分厚さの輪切りにし、さっとゆでて水に一晩つけてあくを抜く。それを蚕かごに広げて外に出す。夜、凍ったものが、日中は日の光で解けて、凍っては解け、凍っては解けをくり返している間に、まっ白く、かさかさに干しあがる。
丸のまま干したものは、皮をむかないで、味噌漬などに使い、切って干したものは煮ものに使う。
写真:煮もの用の凍み大根
出典:向山雅重 他. 日本の食生活全集 20巻『聞き書 長野の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.157-158