こぶりだご

連載日本の食生活全集

2021年03月10日

聞き書 宮崎の食事 延岡の食より

春の彼岸だごに代表される、ふつを搗き混ぜただごである。
小麦粉一升にやわみ三合、ふつのゆでたもの湯飲み一杯の割合で準備する。ふつが少なければ、よめなやごぼうの葉をかてる(加える)。
まず小麦粉とやわみをこね、平たく丸めてゆでる。二、三日前にゆでておいたふつは、殺菌のため温めなおして一緒に臼に入れて搗く。このときの塩のききぐあいが味の決め手になる。
あんを入れて丸め、きな粉を敷いたもろぶたに並べていく。きな粉にふつの色が映えて、春らしいだごである。

写真:春の彼岸のこぶりだご

 

出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.84-84

関連書籍詳細

日本の食生活全集45『聞き書 宮崎の食事』

田中熊雄 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540901010
発行日:1991/03
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

伝説に彩られた山深き里、古来「日向の国」と呼ばれた太陽の国・宮崎。焼き畑の村に、陽光そそぐ平野に、霧島のぞむシラスの台地に、黒磯洗う浜に、なつかしい食と暮らしをたずねた南国の食の記録。
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