聞き書 福島の食事 会津盆地の食より
冬の間の野菜は、大根、白菜、ねぎ、ごんぼなどで、青ものは大根葉の漬けたものくらいである。去年播いておいたくきたちが伸びはじめると、汁の実に、おひたしやおよごしにと、毎日食べる。くきたちの味噌汁に油揚げを入れると、ほんとうにうまい。
くきたちのとうが出るころになると会津も春、田畑の仕事が忙しくなる。
■朝飯―麦飯、味噌汁、身欠きにしんの味噌煮、漬物、くきたちのおひたし
雪が消え、畑の湿気がなくなると、いも畑をうなう。冬の間からだを休めていたので、力仕事をすると節ぶしが痛くなる。これを「春だしはくたびれる」という。
写真:春の朝飯
上:〔左から〕たくあん、身欠きにしんの味噌煮、くきたちのおひたし/下:麦飯、味噌汁
出典:柏村サタ子 他. 日本の食生活全集 7巻『聞き書 福島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.22-23