聞き書 石川の食事 加賀潟(河北潟)の食より
■昼食―白飯、卵とほうれんそうの澄まし汁、たにしの豆煮、味噌漬
春の農作業はお彼岸がすむとはじまる。外の仕事は重労働であるため、腹もちのよい食事をつくるように心がけるのがおかかの役目である。
田起こしがはじまる前にひろったたにしを大豆と一緒にやわらかく煮て、黒砂糖と醤油で味つけした豆煮は、春一番のごちそうである。漬物は、前年の暮れに漬けこんでおいたなす、きゅうりの味噌漬を出す。どんどんはしがすすみ、ごはんも一杯よけいに食べてしまう。午後の田起こしの力を出すために、昼は時間をかけてたっぷりと食べる。
写真:春の昼食
上:〔左から〕たにしの豆煮、ぞんごの煎りつけ/中:味噌漬(なす、きゅうり)/下:白飯、澄まし汁(ほうれんそう、卵)
出典:守田良子 他. 日本の食生活全集 17巻『聞き書 石川の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.187-189