春一番のごちそうはたにしの豆煮―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年03月31日

聞き書 石川の食事 加賀潟(河北潟)の食より

■昼食―白飯、卵とほうれんそうの澄まし汁、たにしの豆煮、味噌漬
春の農作業はお彼岸がすむとはじまる。外の仕事は重労働であるため、腹もちのよい食事をつくるように心がけるのがおかかの役目である。
田起こしがはじまる前にひろったたにしを大豆と一緒にやわらかく煮て、黒砂糖と醤油で味つけした豆煮は、春一番のごちそうである。漬物は、前年の暮れに漬けこんでおいたなす、きゅうりの味噌漬を出す。どんどんはしがすすみ、ごはんも一杯よけいに食べてしまう。午後の田起こしの力を出すために、昼は時間をかけてたっぷりと食べる。

写真:春の昼食
上:〔左から〕たにしの豆煮、ぞんごの煎りつけ/中:味噌漬(なす、きゅうり)/下:白飯、澄まし汁(ほうれんそう、卵)

 

出典:守田良子 他. 日本の食生活全集 17巻『聞き書 石川の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.187-189

関連書籍詳細

日本の食生活全集17『聞き書 石川の食事』

守田良子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540880094
発行日:1988/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

四季折々の素材をこまやかな味わいに仕上げる古都・金沢の食、焼畑からの雑穀、山菜、木の実、熊など獣が食卓をにぎわす白山麓の食など「加賀百万石」の地の多彩な食の数々。
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