すしやあえもちで花見を楽しむ春ごと―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年04月06日

聞き書 大阪の食事 河内(旧大和川流域)の食より

■春ごと
忙しい農繁期の骨休めである。四月三日は、朝から巻きずし、押しずしをつくる。子どもたちの好きな卵焼き、しいたけや高野、こんにゃく、ちくわの煮もの、お多福豆の砂糖煮などとすしを重箱に詰め、近くの山へ花見に出かける。
またお重には、ゆぐみもちやあえもち(甘いこしあんをまぶしたもち)がしっかり詰めてあり、子どもだけでなく大人も楽しみにしている。一日中花見をしながら、家族だんらんが続く。大人が多い家族では、七輪を持ち出し、近隣の人とかしわ(鶏肉)のすき焼きで酒をくみ交わす人もある。

写真:「春ごと」のごちそう
上:〔左から〕ゆぐみもち、あえもち/下(2箱とも):巻きずし、押しずし、卵焼き、煮もの

 

出典:上島幸子 他. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.154-155

関連書籍詳細

日本の食生活全集27『聞き書 大阪の食事』

上島幸子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900099
発行日:1991/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 392頁

商人の町・大阪は、日本中の一流の物産が集まる「天下の台所」。船場、天満の商家、月給取り、近在の農家・漁家の食卓に、「食い倒れ」の真相を探る。写真を添えて料理を再現した食の歳時記。
田舎の本屋で購入

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