聞き書 大阪の食事 河内(旧大和川流域)の食より
■春ごと
忙しい農繁期の骨休めである。四月三日は、朝から巻きずし、押しずしをつくる。子どもたちの好きな卵焼き、しいたけや高野、こんにゃく、ちくわの煮もの、お多福豆の砂糖煮などとすしを重箱に詰め、近くの山へ花見に出かける。
またお重には、ゆぐみもちやあえもち(甘いこしあんをまぶしたもち)がしっかり詰めてあり、子どもだけでなく大人も楽しみにしている。一日中花見をしながら、家族だんらんが続く。大人が多い家族では、七輪を持ち出し、近隣の人とかしわ(鶏肉)のすき焼きで酒をくみ交わす人もある。
写真:「春ごと」のごちそう
上:〔左から〕ゆぐみもち、あえもち/下(2箱とも):巻きずし、押しずし、卵焼き、煮もの
出典:上島幸子 他. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.154-155