彼岸にはぼたもち、春祭りには焼きがれい―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年04月05日

聞き書 滋賀の食事 湖北余呉の食より

■春祭り
四月三日の春祭りには、親せきを招いてごちそうでもてなす。この祭りは茶わん祭りともいって、人形を中心に陶器を三丈余りにも高くつなぎ合わせた飾りを、三基の山車につけ、ねり歩く。重い陶器が揺れる山車の上でくずれないのが不思議である。昔、丹生神社近くの末遠というところで陶器を焼いていた人が、神社に陶器を供えたのがはじまりと伝えられ、茶わんのつなぎ方は秘伝とされている。この日は、敦賀からの行商の人から焼きがれいやかまぼこを買い、おこわ(赤飯)や里芋の煮ものを用意する。よごみの新葉を摘んで草もちもつくる。

写真:春祭りのごちそう
膳内:里芋の煮もの、かまぼこ、おこわ、豆腐汁/膳外:焼きがれい、草もち

 

出典:橋本鉄男 他. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.220-221

関連書籍詳細

日本の食生活全集25『聞き書 滋賀の食事』

橋本鉄男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910012
発行日:1991/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

日本最大の湖・琵琶湖には鯉・鮒・もろこなど淡水魚があふれる。ふなずしをはじめ、滋賀県特有の湖魚の食べ方をもらさず紹介。また、近江商人発祥の地に残る本宅(店に対する自宅)の食生活など話題がいっぱい。
田舎の本屋で購入

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