あいの背ごし

連載日本の食生活全集

2021年06月07日

聞き書 高知の食事 四万十川流域の食より

あいは一年魚。初夏にとれる若あいは骨も皮もやわらかいので、背ごしにはうってつけである。出はじめたばかりのりゅうきゅう(はすいもの茎)の酢もみに、あいの背ごしが入ると最上である。日常の食卓に上ることもあるが、夏のお客に出す料理である。
若あいの内臓と頭をとり、骨ごと薄く切り、塩をきかして酢に漬ける。りゅうきゅうは皮をはいでそぎ切りにし、塩をあててしんなりしたら、水で洗ってしぼる。酢に漬けてあるあいと合わせて、酢、塩、砂糖で味をつける。これにみょうがかせいそうを加えると、味がいちだんと引き立つ。
あいの新鮮さがうまさのきめてで、あいどころならではの料理である。

写真:夏の客料理、あいの背ごし
背ごしというのは、魚を背ごと薄く切ったもの。骨も皮もやわらかい若あいは、背ごしにはうってつけである。りゅうきゅうの酢もみに入れて、暑い盛りの客料理にする。

 

出典:松崎淳子 他. 日本の食生活全集 39巻『聞き書 高知の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.183-183

関連書籍詳細

日本の食生活全集39『聞き書 高知の食事』

松崎淳子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540860256
発行日:1986/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

酢料理は日本一、豪快な皿鉢料理など土佐の伝統食は南国の香りがいっぱい。その他、山の民俗の宝庫といわれる高知山間の土の香りのする料理の数々を紹介する。
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