さなぼりのにわとりぞうめんが田植えの励み―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年06月11日

聞き書 鹿児島の食事 種子島の食より

さなぼり
田植えを終えると、いーの班ごとにさなぼりをする。これが最高の楽しみである。
各戸一羽ずつ鶏を出しあい、まわい家(持ち回り)で当番の家がごちそうをつくる。魚は前もって東海岸の船頭さんに頼んでおき、あら、かつお、そーじのいお、あかじょうなどを刺身にする。焼酎と魚の代金は班の人たちで分けあう。
この日のごちそうのうち、なんといっても鶏をつぶしてだしをとったにわとりぞうめんがおいしい。そうめんに鶏の骨のだし汁をかけ、にんじん、ねぎ、鶏肉をのせた一番のごちそうである。
刺身や切干し大根の酢ざあをしょおけに焼酎をくみかわし、田植えが無事すんだことを祝いあう。

写真:さなぼりの楽しみ、にわとりぞうめん

 

出典:岡正 他. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.249-251

関連書籍詳細

日本の食生活全集46『聞き書 鹿児島の食事』

岡正 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890055
発行日:1989/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

鹿児島は南方食文化の北端。いも・鶏・糸瓜・豚の調理に南方の食習慣が息づく。海上の味=ヤポネシア構想の主舞台の陽光あふれる南国の味。
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