夏行事の楽しみ、いがまんじゅうや手打ちうどん―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年06月16日

聞き書 埼玉の食事 東部低地の食より

六月は、一家総出で大麦や小麦刈り、田植えとなり、どこの家でも、植えあげぼたもちを楽しみにがんばる。田んぼのかえるの声を聞きながら、毎日毎日野良仕事に精を出す。
農あがり休日
さなぶりが終わると、二日間ほどの休みが耕地(集落)中で行なわれる。これまでの疲れをいやすつかの間の休日である。ひまにまかせ、いがまんじゅうや手打ちうどんをつくって食べる。いがまんじゅうは小麦まんじゅうと赤飯を一緒に蒸したもの。赤飯のもち米が栗のいがのようにまんじゅうにくっつき、まんじゅうの甘さと赤飯の塩気がなんともいえない味になる。

写真:農あがり休日やお祭りにつくる手打ちうどん
上:うどん、かて(なす、いんげん)/下:うどんのしたじ(なすの油炒め入り醤油の汁)と冷や汁(味噌味)

 

出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.208-209

関連書籍詳細

日本の食生活全集11『聞き書 埼玉の食事』

深井隆一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910050
発行日:1992/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

「あさまんじゅうに昼うどん」は物日におけるきまりもの。小麦、さつまいも、狭山茶、深谷ねぎ、岡部の大根など自慢の作物もいっぱい。街道のうまいもの、鋳物工場の給食まで収録。
田舎の本屋で購入

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