聞き書 愛知の食事 尾張(稲沢)の食より
田植えが終わったあと、新小麦をひいてつくる、あん入りのおいしいまんじゅうである。
こね鉢に小麦粉三升と塩をひとつまみ入れて熱い湯を注ぎ、ねばりが出るまでよくこねる。ぬれぶきんをかぶせて二時間ぐらいねかせておく。
小豆一升は三升なべに入れて水を加えて煮たたせる。途中、びっくり水を二、三回加えるとやわらかく煮える。水気がほとんどなくなったところで、砂糖を六〇〇匁くらい入れて小豆をつぶし、最後に塩ひとつまみ入れて味をひきしめ、あんを練りあげる。
ねかせた小麦粉だんごを直径一寸くらいとり、手のひらでのばす。まん中へあんを置き、細長く丸め、みょうがの葉一枚でくるりと巻き、せいろに並べて蒸す。
出典:星永俊 他. 日本の食生活全集 23巻『聞き書 愛知の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.144-145