土用にはどじょう汁、お盆にはしろえびそうめん―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年08月03日

聞き書 富山の食事 富山周辺の食より

お盆
八月十三日から十五日までのお盆には、盆踊りと墓まいりのために親せきの人たちが集まる。夏は食べものが腐りやすいので、あまりたくさんのごちそうはつくらないが、さすのこんぶじめ、あべかわもち、しろえび(しらえび)入りそうめんなどを出す。
しろえびは、富山湾だけでとれる、体長が二寸弱の平たい透きとおったえびである。火を通すと乳白色になり、甘みを含んだだしが出る。お盆には魚屋に注文し、しろえびとたまねぎのだしをつくって、そうめんにかける。
親せきの人たちが帰り、お盆がすむと、嫁は一〇日間くらいちょうはい帰りをし、心身ともにゆっくり骨休めをする。そして婚家に帰るときは、大きなみやげもちをかち、実家の母親がかついで一緒に送ってくる。

写真:盆のそうめん
しろえびとたまねぎ入りのだしをかけて。

 

出典:堀田良 他. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.189-189

関連書籍詳細

日本の食生活全集16『聞き書 富山の食事』

堀田良 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890048
発行日:1989/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 376頁

蜃気楼があらわれ、ほたるいかが群遊する富山湾は地元の人たちの魚溜め。立山から発する水が開いた平野は富山の人たちの米びつ。生きのいい魚と米と水がつくる富山の食。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事