聞き書 鹿児島の食事 南薩摩漁村の食より
■昼―丸麦ごはんの冷や汁かけ、きゅうりの酢のもの、塩らっきょう
夏の昼飯はたいてい丸麦ごはんの冷や汁かけにする。畑から帰ってくると、朝炊いておいた丸麦にもう一度水を足して炊きあげる。冷や汁は魚のひぼかしをすり鉢でよくすったあと味噌を混ぜ入れ、冷たい水を注いでつくる。あつあつの丸麦ごはんにこの冷や汁をかけるとおいしい。
このころきゅうりがたくさんとれるので、味噌仕立ての酢のものをつくり、かてもんにする。
夏は昼寝を必ずする。二時すぎころまで休養をとり、そのあと、こっぱだごをつくって、畑に出かける前に腹ごしらえをする。こっぱだごは、生こっぱを粉にし、からいもの澱粉と黒砂糖を入れて丸め、おもに蒸して食べる。子どもが学校から帰ったときのおやつになるので、柄じょけ(柄のついた竹ざる)につるして用意しておく。
写真:夏の昼食
丸麦ごはんの冷や汁かけ、塩らっきょう、きゅうりの酢のもの
出典:岡正 他. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.67-68