熱い丸麦ごはんに冷や汁かけて―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年09月01日

聞き書 鹿児島の食事 南薩摩漁村の食より

昼―丸麦ごはんの冷や汁かけ、きゅうりの酢のもの、塩らっきょう
夏の昼飯はたいてい丸麦ごはんの冷や汁かけにする。畑から帰ってくると、朝炊いておいた丸麦にもう一度水を足して炊きあげる。冷や汁は魚のひぼかしをすり鉢でよくすったあと味噌を混ぜ入れ、冷たい水を注いでつくる。あつあつの丸麦ごはんにこの冷や汁をかけるとおいしい。
このころきゅうりがたくさんとれるので、味噌仕立ての酢のものをつくり、かてもんにする。
夏は昼寝を必ずする。二時すぎころまで休養をとり、そのあと、こっぱだごをつくって、畑に出かける前に腹ごしらえをする。こっぱだごは、生こっぱを粉にし、からいもの澱粉と黒砂糖を入れて丸め、おもに蒸して食べる。子どもが学校から帰ったときのおやつになるので、柄じょけ(柄のついた竹ざる)につるして用意しておく。

写真:夏の昼食
丸麦ごはんの冷や汁かけ、塩らっきょう、きゅうりの酢のもの

 

出典:岡正 他. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.67-68

関連書籍詳細

日本の食生活全集46『聞き書 鹿児島の食事』

岡正 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890055
発行日:1989/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

鹿児島は南方食文化の北端。いも・鶏・糸瓜・豚の調理に南方の食習慣が息づく。海上の味=ヤポネシア構想の主舞台の陽光あふれる南国の味。
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