聞き書 大分の食事 宇佐平野の食より
■昼は、いぎすの酢味噌やらっきょう漬の酸味が食欲をそそる
昼は、朝炊いた麦飯に、いぎすの酢味噌、ふかしなすの味噌あえや醤油かけ、きゅうりもみ、さっぱりとしたらっきょう漬などを食べる。麦飯は、塩をつけたおにぎりにしておくと売れゆきがよい。
いぎすの酢味噌は、海草のいぎすぐさを煮溶かして固めたものに酢味噌をかけたもので、さっぱりした口あたりがうれしい。
暑いときは冷やしうどんが喜ばれるので、面倒でも手打ちにしてよくつくる。ゆでたうどんを井戸水で洗い、水をはったどんぶりに入れ、いりこでだしをとった醤油味のつけ汁につけて食べる。
昼ごはんをすましたらまた田の草取りに出る。上は肌着一枚に、すげ笠をかぶって田に出ると、このころには風も出てきて思うより涼しく田草がとれる。
夏の盛りには、こびりに畑でとれたすいかを井戸で冷やして食べる。大きいしょうけに入れたり、ふろしきでくくったりして井戸につり下げて冷やす。暑さと疲れをいやすすいかはみんなに喜ばれ、大きなものでもあっという間になくなってしまう。
写真:夏の昼ごはん
上:ふかしなすの醤油かけ、らっきょう漬、いぎすの酢味噌/下:冷やしうどんとつけ汁、麦飯のにぎり飯
出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.246-248